ロシアのウクライナ侵攻が激しさを増す中、世界各国でロシアへの経済制裁が活発化しています。
我が国日本も例外ではなく、アジア諸国で一番初めにロシアへの経済制裁を実施しました。
そのような国際社会の努力により、ロシア経済はかつてないほど困窮していると報じられています。
そこで本記事では、ロシア経済の構成をまとめ、それに対して西側諸国がどのような経済制裁を行っているのかまとめていきます。
知られざるロシア経済の構成とは?

この章では、ロシア経済はどのような産業が支えているのか経済構成を見ていきます。
石油・天然ガス産業
石油や天然ガスといったエネルギー資源は、中東諸国のイメージが強い人も多いかもしれません。
しかし、実はロシアの主要産業でもあるのです。
2009年のロシア連邦税関局の統計によると、ロシアでは石油天然ガスなどのエネルギー資源の輸出額が1920億ドルに達し、ロシアの輸出額の3分の2を占めているといいます。
このように、ロシアのエネルギー資源は活発に輸出され、ロシア経済を支えているのです。
そこで、一役買っているのがロシアとヨーロッパを結ぶ「パイプライン」。
このパイプラインを通してロシア産の石油をヨーロッパに運び、ヨーロッパの国々がそれを大量に購入することで得た莫大な利益が、ロシア経済の中核となっているわけです。
特にドイツはエネルギー資源をロシアに依存しており、世界各国の経済制裁が始まってロシアとの貿易が難しくなった今、ドイツ経済は苦境にあると報じられています。
漁業
あまり知られていませんが、ロシアは世界9位の漁獲量を持つ漁業大国でもあります。
それもそのはず。
ロシアはその国土の広さから大西洋、太平洋、北極海の3つの海に面し、2万の河川を持っているため、漁業が盛んになるのも無理はありません。
そんなロシアの漁業水産物は、世界各国に輸出され、日本もその恩恵を受けています。
鉱業
ロシアはその広い国土もあって、エネルギー資源だけでなく鉱物資源も豊富です。
燐灰石を世界の64%、鉄32%、ニッケル31%、コバルト21%など、世界シェアの大部分をロシアが占めている鉱物はとても多いと言われています。
このような鉱物もまた、世界に輸出され、日本のような鉱物資源が少ない国を支えています。
耐えられない?世界各国の経済制裁、その内容とは…?

この章では、前章で述べたような産業で支えられているロシア経済に、世界各国がどのような経済制裁を行っているかを解説していきます。
SWIFT排除
ロシアに対する経済制裁の一環として、アメリカ、EU、イギリスなどは「ロシアの銀行をSWIFTから排除する」という共同声明を発表しました。
日本もこれに参加するとしていて、世界各国がこの動きに賛同を示しています。
これはロシアにとって相当厳しい経済制裁と言われていますが、そもそもSWIFTとは何なのかが分からない人も多いでしょう。
SWIFTとは「国際銀行間通信協会」のことで、いわば国際送金の際のチャットサービスのようなもの。
つまり、貿易などの国際的な取引の際に、「どのくらい送金してください」と相手に伝える送金依頼を送るときや、それを相手から受け取るときに、やりとりを安全に行うために用いるネットワークのことをSWIFTと呼んでいるのです。
銀行がSWIFTから排除されてしまうと、安全に金銭的なやりとりができなくなってしまうため、世界各国がロシアと貿易しづらい環境に陥ります。
そこで西側諸国は、ロシアの大手銀行をSWIFTから排除して貿易を止めることで、ロシア経済を破綻させようとする狙いがあるのでしょう。
プーチン大統領と関係の深い富豪の資産凍結
ロシアには、政権に近い立場を利用して莫大な財産を築いた富裕層が存在します。
彼らはプーチン大統領とのプライベートな関係が深いことから、政権へ資金援助をしている可能性が強いです。
そのため、彼らへの制裁を通してプーチン大統領に経済的にも精神的にも圧力を与える狙いがあります。
ロシアとの輸出入の規制
ロシアの莫大な軍事費は、前章で紹介したような産業で得る利益で賄っています。
そこで、世界各国がロシアとの貿易関係を断つことで、ロシアに入ってくるお金を大幅に減らし、経済的に大きなダメージを与えることができるでしょう。
特に、ロシア経済の中核となっているエネルギー産業に関しても、イギリス外相がG7そしてNATOの加盟国に対し、「ロシアの石油、石炭、ガスの輸入を排除する」ことを要求すると話していて、ロシア経済は今後さらに厳しくなると予想されます。
このように、国際社会はロシアに軍事的に攻撃するのではなく、経済的に打撃を与えてウクライナ侵攻をやめさせようとしています。
一方、このような経済制裁の影響で、ロシア経済だけでなく日本や国際社会にも悪影響が及ぶことも事実であり、それを懸念している人も多いでしょう。
しかし、そのような弊害はウクライナの人々の激しい苦痛や悲しみには遠く及びません。
今こそ、世界が一体となって反戦の姿勢を示し、戦争と戦っていくべきではないでしょうか。